北海道・恵庭市遠藤牧場訴訟「虫がわいている光景は見たことがない」...被告側が反論、原告側「年金などの横領はないが年金の管理はわからないと主張」

札幌地裁
原告側はこれまでの裁判で、経営者の賃金未払いや劣悪な環境(プレハブ小屋)で過ごさせたこと、不十分な食事を与えたことなどを主張。未払いの賃金など合わせて9400万円の損害賠償を求めている。
一方、弁護側は「牧場主(故・遠藤昭雄市議)が過去に市議会議長を務めていたことなどによる忖度は無い」「虐待の隠蔽などはしていない」と反論し、それぞれの主張は真っ向から対立している。
「欲しいと言われたときは2〜3000円を渡した」
前回の裁判には、被告側は誰も出廷しなかった。出廷しない理由は「体調不良」としていたが、「連絡を直接しないのはいかがか?」などと原告側弁護団の中島哲弁護士は批判していた。
ただ今回の裁判には原告・被告側弁護士が出廷。審理が進んだ。これまでの原告側の主張に対し、昭雄氏の妻が陳述書を提出した。
陳述書には以下のような内容が書いてあった。
原告らはペットボトルにボウフラがわいていたなどと主張しているようだが、私はそんな光景を1度も見たことがない。ご飯は夫が亡くなるまでは母屋で同じものを食べていた。通常はご飯やおかず、お汁を用意していたが、忙しいときには朝は卵かけご飯の時もあった。ただ、一緒にだし汁を出すようにしていた。
原告の1人はどんぐりや廃棄する野菜などを食べていたと主張しているが、私たちは皆にお腹いっぱい食べさせていた。また、廃棄する野菜などを醤油や味噌に漬けて食べていたと言っているが、それはその人の好きなことだ。皆にお腹いっぱいご飯を食べさせていたので、原告の1人は医者にかかっており、医者からは太り過ぎと言われていた。
原告らの障害年金が入る通帳は、里子にかかる生活費として下ろしていたようだが、私はあまりわかっていない。お金のことは夫が亡くなってからは夫がやっていた流れをそのまま続けていた。実際にお小遣いが欲しいと言われた時は、2〜3000円を渡していた。
その上で、裁判長が原告に対して請求対象の見直し、被告側に対しては年金や賃金についての適正な管理がなされていたかの確認や、市職員が「原告らが年金等の管理がしっかりとできていたと知っていた」と主張していることについて、どのような認識だったのかを確認するよう求めた。
また裁判長は、一般論として「里親側に預金が流れるのはいけないこと」とし、「一定の関与があったのは間違いない。あくまで一般論として、里親として『横領はいけない』などと啓発をしていたのか知りたい」と付け加えた。
裁判後の報告集会には、原告弁護団の中島弁護士らが出席。「被告側は、障害年金等の横領はないと言うが、一方で年金の管理はわからないと主張している。そんなことはないでしょう」と指摘していた。
次回期日は10月17日午後に札幌地裁で開かれる。
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